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E25 西武池袋本店 酒売場(日本酒) 地下1階 食品売場 日本全国の酒蔵から届いた魅惑の品ぞろえ

東洋で使われる麹菌には多くの種類がありますが、日本酒には味噌、味醂、醤油と同じ黄麹が使われます。日本酒に用いる麹は蒸した米に麹菌を振りかけて育てたもので、米麹ともいいます。これが米のデンプンをブドウ糖に変える糖化の働きをします。洋酒を代表するワインでは原料であるブドウ果汁の中に既にブドウ糖が含まれているため、糖化の工程が要らない単発酵です。東洋では日本酒だけでなく、ほかの酒類や味噌、味醂、醤油など多くの食品に麹が使われますが、これはアジアの中高温湿潤気候にあった醸造法です。日本酒はアルコール分22度以下のものを指し、1級、2級など酒税別等級制度は1992年に廃止され、現在は大部分を「普通酒」とし、原料や精米歩合により特定名称酒の「本醸造酒」、「純米酒」、「吟醸酒」に分類されています。また製造法により、火入での発酵停止をさせない「生酒」、熟成年数の経った「古酒」、粗い目の布で濾した「濁り酒」などもあります。生産量では水資源に恵まれた神戸と京都で全国の約半分を生産していますが、酒好きにとって今や日本酒は居ながらにして全国の地酒を楽しめる時代。生産者は全国で1300社ほどあり99%以上が中小業者です。西武池袋本店には全国選りすぐりの日本酒がそろいます。また近年になって沖縄、九州、離島で飲まれていた蒸留酒の「焼酎」や「国産ワイン」も急速な拡大を見せており、日本の酒造りは多様化しつつあります。

江戸時代までの日本酒は今も生産量の半分ほどを占める京都・神戸から江戸に来たもので「下りもの」と呼ばれていました。これに対しどこで作られたかわからない酒を指して「下らないもの」という名前ができたと言われます。余談ですが京都人は今も明治以降の言葉である「上京」「帰京」という言葉を好まず、代わりに「東行」「帰洛」と呼び、京都人同士では京都に戻ることを「帰京」という人もいるといいます。しかし現在日本全国ではその土地ならではの個性を持った美味しい日本酒が作られるようになり、池袋本店の酒売場では「今週のお酒」コーナーで全国約220の蔵からの珍しいお酒が登場しています。展開期間はそれぞれ毎週水曜日から次週の火曜日まで1週間です。日本酒は年中「旬」があります。「新酒」ができる1月~2月、すこし熟成しすっきりした味わいの5月からの「夏酒」、秋になると夏場に低温で寝かせた「冷おろし」が出回り、日本酒ファンは年中目が離せません。

山形県の富士酒造の栄光冨士は安永7年(1778年)、加茂屋専之助が酒銘を「冨士」と定め、酒造業を開始した歴史ある蔵元。地元では「あそこの祝言(結婚披露宴)は冨士でやるそうだ」とか「今晩の集まりはふんぱつして冨士でやろう」とかいうふうに、上等酒の扱いを受けてきました。現在は出荷されるほとんどの酒が無濾過生原酒です。左は「栄光冨士 純米大吟醸 無濾過生原酒 森のくまさん 熊太郎」。熊本県産の人気ブランド米「森のくまさん」を醸し、売上の一部を「熊本城」に直接寄付する「熊本城ドネーションプロジェクト」の第1弾です。クセの無いバランスの良い旨味が人気。ジューシーな甘味を堪能してください。右は「栄光冨士 純米大吟醸 無濾過生原酒 菫露威吹〜いぶき〜」。1年に1度しか出荷しない春の限定酒 第1弾。これぞ「栄光冨士」と言えるスタンダードな味わい!山田錦と美山錦のいいとこ取り。フルーティーな吟醸香とやや甘口のバランスの良い飲みやすい純米大吟醸です。

左)宮城県、宮寒梅の寒梅酒造は大正7年、創業者の岩﨑碩次郎が地域の米をよりすぐり美味しい清酒をこしらえたのが事業の始まり。ここの「純米吟醸」は春の華を想わせるあでやかな香り。しっとり澄んだ甘みの奥に完熟した米の味わいです。「純米大吟醸」は豊かな香り。米の旨みをふんだんにたたえ、爽やかなキレが後味におとずれます。「純米酒」は柔らかな口当たりで端々しい味わい。「Mr.サマータイム」は季節限定品。華やかな香りとほのかな酸味が秀逸です。
右)岐阜県、小左衛門の中島酒造は元祿15年(1702年)創業。「備前雄町中汲み」は「赤磐雄町」を使用した純米大吟醸の”中汲み”のみを瓶詰めした贅沢なお酒。上品な香りのリンゴ的な吟醸香で爽やか。フレッシュな口当たりでどっしりしたリッチなエキス感。「赤磐雄町」も使用米は赤磐雄町。精米歩合:47%でグラスに注ぐと溢れるメロン果汁を彷彿とさせる華やかな香り。丁寧に低温で醗酵・搾り・熟成させた仕上げ。上品で雑味の少ない旨みで後味は軽やかです。「赤磐雄町」の透明感、瑞々しさが感じられます。

左) 福井県、伝心の一本義久保本店は明治35年創業。日本海に面する福井県の北東、奥越前勝山は、四方を山々に囲まれた盆地。最深積雪量が1mを超すこともある屈指の豪雪地。ここの「伝心 稲 純米生酒」は、ふんわりと風にそよぐ稲穂のように優しく滑らかな口当たりとふくよかな味わいの辛口純米酒。「純米生酒 伝心 純米大吟醸生酒 夏」は奥越前固有の希少酒米「越の雫」を全量使用して醸す純米大吟醸酒「伝心 凜」を夏季商品として生酒で出荷しています。
右) 山口県、五橋の酒井酒造は明治4年に錦川の伏流軟水に恵まれた岩国市で創業。五橋の名は錦川にかかる五連の反り橋「錦帯橋」に由来。「五橋純米生酒」は山口県産米全量で醸す純米生酒。甘やかさを残すことで口当たりが良く、適度な酸味で後口がキリっと締まる軟水仕込み特有のソフトな酒質。「五橋西都の雫」は令和2年酒造年度全国新酒鑑評会金賞受賞、令和元酒造年度全国新酒鑑評会入賞、平成15、16、17、19、20、22、23、24、25、27、28酒造年度全国新酒鑑評会金賞受賞。

左) 富山県、羽根屋の富美菊酒造は富山市内に居を構える小規模な酒蔵で大正5年創業という長い歴史を持ち、2016年には創業100周年を迎えました。「クリアブルー」は麹米に山田錦、掛米に日本晴を使った羽根屋の夏酒。クリアでドライな酒質。二種類の酒米が蔵元独自の五段仕込によって、爽やかさの中に風格を感じる旨味が生れました。常温か冷や、またはロックで。夏を楽しめる一本です。「純吟醸生原酒 煌火」は羽根屋の看板商品。ほとばしる美味しさをそのまま詰め込んだ生原酒です。

右)九州は日本酒だけでなく焼酎も盛んです。鹿児島県「晴耕雨読」の佐多宗二商店は明治41年創業の薩摩焼酎。「晴耕雨読」は芋焼酎ですが米麹も使われ、臭みがなくすっきりと飲めます。 口に含むと鹿児島銘菓「かるかん」やほのかなさつま芋の甘味も感じ、酸のキレもお楽しみいただけます。飲み方はオールマイティです。

PROFILE

長島大紀

Nagashima Hiroki

日本酒の伝道師でもある長島係長は全国の酒蔵の魅力を熱心に伝える毎日です。多くの日本酒ファンを抱える池袋本店酒売場のお客さまの年代と性別はどんどん幅広いものになっています。今の傾向はご家庭で4合瓶を各種取りそろえて、味の違いを楽しむ方が増えていて、そこで見つけた自分のお気に入りをお店にもリクエストされる方が多いとのことです。しかし家飲み時代を迎えて、長島係長はこの機会に多くのお客さまに、いままで知らなかった新たなお気に入りを自宅でもっと見つけてほしいと感じています。ズーム飲み会などの機会も増え、画面に映る友人が飲んでいるお酒の銘柄が気になるようになり、「それ美味しいの?」「どこで見つけたの?」などというやり取りが増えてきた今日このごろです。

お手数ですが、お問い合わせ内容欄に必ずE25 西武池袋本店 酒売場(日本酒)と記入してください