E5 西武池袋本店 九段下寿司政 地下1階 おかず市場 文久元年(1861年)創業の老舗寿司店
この絵は明治28年ごろの靖国通りに架かる俎板橋、右横に現九段郵便局が描かれています。路地を入った所が寿司政(現在の本店)の場所。三代目は大正12年の震災で三崎座から焼け出され現在の九段下に店を構え、戦後いち早くすしを握り始め、昭和48年に他界するまでに現在の寿司政の土台となる味を作りました。
神田三崎町の歌舞伎小屋・三崎座で寿司を握っていた二代目太田福松の長男が三代目の戸張政次郎です。 政次郎は父福松とは逆に驚くほどの几帳面な仕事一筋の人。今も寿司政の顧問樽川正二郎(現84歳)は三代目の話題になると、毎回包丁の砥ぎ方を見られては手がすくみ、体が凍りついたと言います。
四代目の戸張太啓寿が九段下の店を継いだのは30年前。寿司政では12歳になると、玉子焼き、おぼろ、こはだの〆方、あなごの煮方、ガリ等の仕込み全般を習得するのが習わしでしたが、その後横道にそれ、他業界で別の道を歩んでいました。三代目政次郎の他界後は、妻百合子が101歳で平成22年に他界するまで、30年間寿司政の伝統の味の仕込みを職人達に教え自ら築地魚河岸に行って魚を仕入れていました。百合子は芝百合の名で哥澤の名取として芸事に秀で、食のこだわりも強く、妥協しない性格が寿司政の味を守り通しました。そのため『寿司政は職人が代わっても味が変わらない』と作家の山口瞳さんは語りました。
そして平成の初め四代目、戸張太啓寿が他業種から戻り店主となります。そして、五代目戸張正大(長男50歳)が十代のころに祖母百合子から教わった、卵焼き、穴子の煮かた等寿司全般にわたって味の継承を心がけています。近年は世間での寿司の味は昔とかなり変わってきています。しかしガリ一つを取っても、寿司政のガリは昔ながらの酸っぱめで、各々のすしの味を引き立てつなげる役目。寿司の命はいきのよい鮮魚をいかに生かすかです。 そしてもう一つの寿司の本流、煮物ネタ(穴子、煮いか、はまぐり、しゃこ)、〆物ネタ(こはだ、鯖)等も新鮮な仕入ができて初めて代々継承されてきた仕事が生きてきます。それらネタと赤酢を使った握りには寿司政の職人の魂が込められています。
寿司政西武池袋店のテイクアウトの品ぞろえ。昔気質の江戸の味が人気です。
大人数が集まったとき、江戸の味を今に伝える寿司政のにぎりやばらちらしは最高級のおもてなしです。電話でのご予約も承っています。
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