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F16 西武渋谷店 ブロウケッジ B館4階 紳士服フロア 現在の西武渋谷店でメンズのエッジとは。

『エッジなオトコ達のエリア』を意味するブロウケッジ(BLOKEDGE)は、国内外の新進気鋭ブランドを独自にセレクトし、エッジの効いたスタイルを提案しているショップです。21世紀初頭に西武池袋本店に登場し、その後変遷を経て、2012年より渋谷店にも拡大しました。当初の「エッジ」がカルチャー色の強いストリート系であったのに対し、現在は上品なカラーリングや、ファンシーなディテールが垣間見えるジェンダーレス方向となっています。インポートブランドでは、メゾン・マルジェラ(Maison Margiela)、マルニ(MARNI)、アクネストュディオズ(ACNE STUDIOS)、メゾン・キツネ(Maison Kitsune)、ドメスティックブランドでは、ダブレット(doublet)、キディル(KIDILL)、ナイト(nyte)、アーネイ(ANEI)など、世界的に有名なブランドからポテンシャルを秘めたマイナーなブランドまで幅広く展開しています。ブロウケッジはこれからも、時代によって「エッジ」という言葉の意味が変わることにつれ、展開ブランドも比例して変化を遂げていきます。【2022.3月記】

正面にディスプレーされるブランドは日々変化しています。今回登場したのはキディル(KIDILL)。キディルは、デザイナー、末安弘明氏が2014年に立ち上げたブランド。デザイナーは読書や日々の生活、会話や環境からインスピレーションを得て、着る人の本質を引き立てるような服作りをコンセプトとし、クラシックなテーストを盛り込んだスタイルを提案しています。また“KIDILL”とは、純粋性と気持ちの有様を意味した造語でデザイナーの末安氏が90年代に体験してきたハードコアパンクやグランジ、グラフィティ、スケートボード、文学など様々なジャンルを取り込み、ストリートの衝動性やスタイルを服に込め、テーラリングの技術やラグジュアリーな生地を組み込んだりすることで生まれる偶然性や即興性を大切にしているとのことです。

こちらはアクネ ストゥディオズ(Acne Studios)。1996年スウェーデンでアクネの事業は始まり、1998年デザイナーのジョニー・ヨハンソンがアクネジーンズをスタートさせました。ラグジュアリーな雰囲気も持ちつつ主張しすぎないデザインは、ミニマルで実用性も高くぜひワードローブに加えたいセンスです。メンズ・ウィメンズともにウエアからシューズ、アクセサリーまでトータル展開。もともとデニムからスタートしているため、ジーンズは今も人気。さまざまなシルエットを展開し、ハンドメイドで、日本産のデニム生地を使用しているコレクションも数多くあります。シルエットはスキニージーンズが人気。脚にフィットし、滑らかで、はき心地が非常に良いことでよく知られています。

マルニ(MARNI)は1994年、コンスエロ・カスティリオーニがミラノで設立。2016年10月21日、創業者コンスエロ・カスティリオーニがクリエーティブ・ディレクター辞任。同時に、フランチェスコ・リッソが新クリエーティブ・ディレクターに就任しました。ミラノを拠点とし設立当初は毛皮と革製品のみのラインアップでしたが1999年に毛皮や革製品以外にもラインアップが広がり2001年メンズラインが登場しました。マルニのコレクションは、ボリュームの使い方と構築的なシルエットが高く評価されています。さらにシフォンなど柔らかい素材に、プリント、チェック、ストライプなどさまざまなデザインを取り入れた上品なスタイルと温かみのある雰囲気が特徴です。2000年代に入るころからは、世界的人気が不動のものとなりました。

左:アンユーズド(UNUSED)は2004年、日本で創業されました。メンズ、ウィメンズウエアともに展開していますがデザイナー名は非公表です。コンセプトは「観念的な枠を取り去り、解体し、存在の新たな形の追及提案」です。先入観をもたず過去の物に新たな観点で改良を加え、喜びを与える機能美と着心地を追求しています。2016年春夏コレクションから、メンズ・ウィメンズともにデザインは統一されており、”00”から”04”までの幅広いサイズ展開のため、ユニセックスで着用できます。

右:アモク(amok)は2015年にデザイナー 大嶋祐輝氏(YUKI OSHIMA)が立ち上げました。ブランドのコンセプトは「古き良きものを壊し、新しい技術などを用いて、人間の奥底の感情に響くような洋服をデザインする」です。

N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)は2000年、尾花大輔氏が「ミスターハリウッド(MISTER HOLLYWOOD)」を立上げ、2002年春夏に「N.ハリウッド」として東京コレクションからデビューしました。ミスターハリウッドは会社名及び店舗名で、N.ハリウッドがブランド名です。古着やヴィンテージをベースとした服作り、シルエットと着心地にもこだわりを持っています。また、ミリタリーウエアもそのルーツの一つになっています。リーバイス、ティンバーランド、リー(Lee) 、ラングラー、コンバース、ワコマリアなどとともにメイクコレクションを開催したり、ジー ショック(G-SHOCK)やディーゼルなどとのコラボレーションも積極的に行っています。

左:アーネイ(ANEI)はデザイナーの羽石裕氏により2019年春夏コレクションからスタート。2019年春夏コレクションからはメンズ・ウィメンズウエアの展開を始めています。デザイナーの羽石裕氏は、2008年から6年間ヨウジヤマモト オムやY-3の企画・生産、パタンナーを経験し、2014年より4年間、ビズビムで生産をメインに担当してきました。

右:マスターマインド(MASTER MIND)は1997年、本間正章氏が設立。2017-18年秋冬シーズンからコレクション展開。「LOVE & PEACE」をモットーに掲げ、素材の良さと作り込みを重視しスカル(骸骨)がトレンドマークです。本間正章氏はヨウジヤマモトの販売、セレクトショップのマネージャーを経てブランドをスタート。その後「東京コレクション」に参加。2001年にはパリ合同展示会「ESHM」、「TRANOI HOMME」ラスベガスの「MAGIC」など世界を舞台に発信を続けています。

エンダースキーマ(Hender Scheme)は2010年、柏崎亮氏がシューズブランド「エンダースキーマ」を設立したのが始まり。柏崎氏は学生時代に靴工房で働き始め、実務を通じて靴作り学ぶ傍ら、友人や舞台用の靴を制作。靴のリペアーショップなどでも働きつつ、ブランドを立ち上げました。プレミアムレザーを使ったシューズのほか、バッグ、名刺入れなど革小物なども展開。人気スニーカーへのオマージュを込めたヌメ革製のシューズ「オマージュライン」が人気です。工業製品のスニーカーを、あえて浅草の家内制手工業で作ることでまったく同じデザインでも、異なるものが生まれています。さらにヌメ革を用いているため経年変化でユニークなものに仕上がっていきます。ブランド名は、心理学用語の”Gender Scheme(ジェンダースキーマ)”からの造語で、Genderの頭文字の”G”を一つ超えた”H”にすることで、『ジェンダーを超える』という意味を表現。すべてのデザインで、メンズとレディースの両サイズを展開する一方、男女の骨格の差や筋肉などの生理的性差(sex)は尊重し、木型やカットなどで、メンズ・レディースで若干差をつけています。またモードとクラフトのバランスを重視したスタイリッシュなデザインも特徴です。

メゾン マルジェラ(Maison Margiela)は1988年、パリで「メゾン マルタン マルジェラ」設立。2015年1月、メゾン マルジェラに改名。フランスを拠点としてウィメンズ・メンズウエア、アクセサリー、シューズ、フレグランスなどを展開。衣服の再構築・再定義、ショーのスタイルなどコンセプチュアルな手法でファッション史に大きな影響を与えたメゾンのひとつ。1989年春夏にパリ・プレタポルテ・コレクションにデビューすると、シルエットの細いジャケットやボトムを提案し、タイトシルエット全盛になるきっかけを作ったと言われています。マルジェラのスタイルは「脱構築(デコンストラクション)」「デストロイ・コレクション」とも称され、古着の活用(生地に古着を使用する)や新しい服の古着風加工など独自の視点でデザインされています。マルジェラのスタイルはシャビー・ルックや、90年代に流行するグランジファッションの先駆け的なスタイルとも言われています。

メゾン マルジェラ(Maison Margiela)のシューズコレクション。日本の足袋からインスピレーションを受けた独特な親指だけ独立したカットはマルジェラのアイコン的なデザインの一つとなっています。

メゾン マルジェラ(Maison Margiela)の革小物。並んだ数字の中のサイズ番号に〇を付けてあるマルジェラ独自のサイズ表示用チケット(布札)と、それを服に留める四隅の放射状の縫い付け糸が一つのモチーフになっています。

メゾンキツネ(MAISON KITSUNÉ)は2002年、Gildas Loaëc(ジルダ・ロアエック)と黒木理也氏(クロキ・マサヤ)がパリにてキツネ(KITSUNÉ)をスタートし、2021年には「メゾン キツネ(Maison Kitsuné)」としています。ファッションブランドに加え、音楽レーベル「キツネ ミュージック(KITSUNÉ MUSIQUE)」、カフェ業態「カフェ キツネ(CAFÉ KITSUNÉ)」も運営。フィロソフィーはアール・ドゥ・ヴィーヴル(生活美学)。ファッションのテーマは「タイムレス」。メンズ、レディースとも展開。高品質なイタリア、日本、フランスなどの素材を適材適所に選んでいます。スタイルの質と純粋なラインとディテールに徹底的にこだわり、デザインはシンプル、実用的で自然と日常に馴染むものです。ジルダ・ロアエックは元フランスのハウスミュージックシーンのアーティスト「ダフト・パンク(Daft Punk)」のマネージャー、黒木理也氏は12歳で日本からフランスに渡り建築の資格を取得しパリの生活・文化に触れて育ちました。

ダブレット(doublet)は2012年に井野将之氏と村上高士氏が設立。展開はメンズですが、ショーやルックに女性モデルを起用したり、女性が実際にアイテムを購入するケースが多々あったりとユニセックス的な雰囲気。ブランド名の「doublet」はルイス・キャロルの言葉遊び「ダブレット」に由来しています。ベーシックなアイテムに唐突なアイデアを混ぜ込んだ『違和感のある日常着』をコンセプトに掲げウェアからアクセサリーまでトータル展開。デザイナーの井野将之はミハラ ヤスヒロにて靴・アクセサリーの企画生産を務め、パタンナー村上高士氏とともにブランドを立ち上げ、2013春夏の展示会でデビュー。2013年には「2013 Tokyo新人デザイナーファッション大賞」プロ部門のビジネス支援デザイナーに選出され、最高位の東京都知事賞を受賞。2017年秋冬コレクションで東京ファッションウイークにデビューしました。

ナイト(nyte)は2006年、日本で設立した日本のファッションブランド。ディレクターの榎原大知氏(えのはら・だいち)は元歌舞伎俳優という異色の経歴をもちます。アイテムは、マスキュリンな雰囲気で、型にはまらないパターンやディテールが特徴的です。

コウサトウ(KOU SATOH)は佐藤幸介氏により2013年設立。ジュエリーカレッジにて彫金を学んだ後、宝飾企業にて制作クリエーター兼デザイナーとして商品開発を担当。その後、自身のブランドを設立し、現在も数社の国内ブランドのディレクションおよびデザイン、商品開発を担当しています。

PROFILE

藤井祥大 吉瀬けいすけ

Fujii Yoshihiro Kichise Keisuke

藤井さんは2015年に入社して以来、販売はもちろん、ディレクション、バイイング等、多岐に渡ってブロウケッジに携わり、売場の変遷を見てきました。当初はストリート色の強い奇抜な服が多かったのですが、時代の変化の中で、ファッションも、男性らしさや女性らしさといったジェンダーの違い、ヤングとシニアの世代の違い、体が大きいか小さいかといった身体的特徴の違いなどの境界線が曖昧な、ボーダーレスで自由なファッションに移り変わっていると感じています。私たちは常に『ファッションを通してお客様の人生を鮮やかにしたい』という気持ちを大切にしています。お気に入りのお洋服を着ることで、気分が上がったり、周りの人をハッピーにしたり色々な可能性が広がり明日への活力になります。お客様の人生に彩りを添えることができれば、これ以上の幸せはありません。これからもお客さまとの出会いを楽しみに、魅力的なアイテムを揃えて、西武渋谷店らしい『エッジ』の効いたスタイルをご提案できるよう邁進します。と語ってくれました。

また吉瀬さんは2018年に入社し、2020年から紳士服飾の各売場を経験し2023年4月から再びブロウケッジ売場を担当。藤井さんの後を追いながら買付や販売などで新たな風を呼び込んでいます。

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