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G37 そごう横浜店 湘南鎌倉 大船軒 地下2階 大食品館「エブリデイ」 駅弁でサンドイッチと鯵の押寿しを生んだ神奈川のパイオニア企業

大船軒の歴史は大船駅の開業と共に始まります。明治21年(1888年)大船始発の横須賀線が開通し、大船は一躍交通の要所となり寒村に鉄道駅が忽然と出現しました。そんな中、明治31年(1898年)大船軒は営業を開始。現在の西東京市に文久2年(1862年)に生まれた創業者の富岡周蔵は鉄道の開通と共に大船に移り、駅の構内での弁当販売を思いたち、明治31年5月2日、構内での販売許可を申請しました。周蔵は明治政府要人の黒田清隆との親交が深く、黒田は外遊の折に食したサンドイッチの話を周蔵に聞かせ、駅での販売を薦め、周蔵は独自にサンドイッチの製造に挑戦。最初は輸入ハムを使い明治32年、日本で最初の駅弁サンドイッチが誕生しました。販売を始めると、おいしさともの珍しさから売り切れ、品切れが続きました。輸入ハムでは生産が間に合わないと悟った周蔵は、ハムの自家製造を思い立ちました。これが「鎌倉ハム」の始まりです。ハムの供給に成功した大船軒のサンドイッチ「大船軒サンドウヰッチ」は、好評を博し、周蔵は、鎌倉ハム富岡商会を設立(明治33年)。しかし一方大船軒は、日本中の駅でサンドイッチが売られるようになったことで独自性を失いつつありました。そんな折、周蔵は相模湾で獲れる「鯵」に注目、これを駅弁にできないかと思案し「押寿し」の開発に成功しました。小鯵を関東風に握り、関西風に押して仕上げる「鯵の押寿し」は大正2年4月に発売。当時、鯵は江ノ島近海で湧くように獲れたとのことです。身の締まった「小鯵」だけを使い、半身で一握りという贅沢な押寿しはサンドイッチに増して人気となりました。現在でも大船軒の「伝承、鯵の押寿し」は、当時と変わらず「小鯵」だけを使用し、伝統の味を守り続けています。【23年5月記】

大船軒の代表商品。左の「大船軒サンドウヰッチ」は約124年前に大船駅で発売された日本の駅弁初のサンドイッチ。鎌倉ハムとチーズのシンプルなサンドイッチです。レトロなパケージも魅力的です。右は伝承鯵の押寿し。こちらも駅弁として大船駅で発売された約110年前からの製法を守っており、小鯵の半身を一貫に一枚載せています。こちらも昔から変わらぬ手仕事で作られている神奈川を代表する名品です。うしろは新幹線ボトルウオーター。全国の新幹線の色と形はお子さまたちが喜ぶこと請け合いです。

PROFILE

樋田秀史

Toida Hidefumi

樋田さんは大船軒の副工場長。徹底的に衛生管理された工場で骨の有無などをチェックした鯵のサイズをそろえ、熟練職人が丁寧に包丁を入れて美しく仕上げ、ほどよく炊き上げ専用の赤酢で酢飯にした国産米のご飯を関東風に握り、職人が関西風に押して仕上げるという日本以外では考えられないような、手の込んだ手作りをいまだに守っています。株式会社大船軒は、2023年4月に親会社である、株式会社JR東日本クロスステーションと経営統合いたしましたが、今後も末永く「湘南鎌倉大船軒」の伝統と味を守り続けて参ります。

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