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H12 そごう千葉店 ビスポークワークショップ supported by美靴工房 5階 紳士服フロア 思い出も修復します

循環型社会が推進され波及している時代に、モノが持つそれぞれの個性を活かしつつ、持ち主のご希望やご用途に応じたリペアを承るため、2020年9月、そごう千葉店5階紳士服フロアに「ビスポークワークショップ supported by美靴工房」がオープンいたしました。当ショップはラグジュアリーブランドなどの革製品の修復も行う「美靴工房」で修業したスタッフが千葉の工房にて修復を行っています。もちろんお客さまのご要望によっては、美靴工房の二子玉川工房にて熟練スタッフが修復を行います。また、革製品だけでなく衣類の修理やリメイクによる再生も承っております。経年劣化やダメージなどにより、ご使用されることを諦めていた思い出の品をお客さまお一人お一人のお悩みやご要望を傾聴(ビースポークン)し、思いに寄り添いながら蘇らせていくことを目指しています。【2021.10月記】

当ショップでは修復を、見栄えの修復だけでなく「お客さまと革製品との物語の修復」が大切だと考えています。そのため、革本来の個性や今までご使用いただいた中でできた風合いを損なわないようにするとのこと。新品状態に似せることもできますが、それでは別物になってしまいます。革の性質や色調、仕上げ、ブランドごとの特性を活かすのと同様に、お客さまの思い出とともに生まれたエイジングという個性を大切にしながら傷やダメージ、色あせを修復しています。

色補修には大きく分けて二段階があります。修理する革製品と同じ色をつくる「色づくり」と「色を塗っていく」作業です。「色づくり」では、革製品ごとに染料や顔料を調色し、その革本来の色合い・風合いに近づけていきます。この色づくりにおいて、大切なのが色彩感覚となります。一説によると、この色彩を識別する能力は女性が男性より優れているという研究結果もあります。このようなことも踏まえ、工房での修復作業は女性スタッフが担っています。

色を塗っていく作業では、刷毛を使い、繊細なぼかし技術などを駆使しながら、行っていきます。その際、同じ色を塗っても、素材や傷み具合など革の状態によって発色に違いが出てきます。そのため、一つの製品でも塗る箇所などによって、とても細かい微調整が必要になります。また、屋外で見る場合と室内で見る場合では見え方に誤差がでることもあるため、その都度、外に出て色味を確認していきます。それぞれの革には、凹凸感があり、箇所によっては非対称の革製品に極力、均一に見えるように塗っていく作業は、メイクアップに似た注意力と技術力が必要になります。

お客さまから「革製品との思い出」を丁寧にお伺いするため、承りには長時間を要し、思わぬエピソードに出会うこともあります。千葉店での実際のエピソードの一つに、お客さまが母の日に「お母さまの思い出の品をご使用したい」と「お母さまの形見」のバッグをお持ちになられました。お持ちになられたバッグは長い間、ご使用になられていなかったため、劣化もしていました。そこでお母さまとの思い出をお伺いしながら、バッグの内側ポケットを確認すると、なんと若かりし日のお母さまの免許証が入っていました。それを目にしたお客さまは感極まり売場にて涙されたとのことです。モノを修復しようとすることは、同時に思い出も蘇らせることでもあるのではないでしょうか。

革製品だけではなく、衣類の修理やリメイクのサービスも承っております。ウエスト、袖、裾の詰めや出しだけでなく、かけはぎ等のお修理も承っております。ご両親の愛用品を引き継いだり、ご自身の思い出の品を長くお召しになられたり、大切なお品物をご愛用いただくためのお手伝いをしております。

一般的なお直しだけではなく、思い出の品をお子さまやお孫さまに着ていただけるようにリメイクすることも承っております。ハレの舞台を彩ってくれるドレスなどは、華やかな反面、着用するシーンが限られてしまいます。使用する機会がなかなかないけど、捨てられない、大切なお品物をお子さまが着られるようにリメイクすることで、ご自分の思い出をご家族に託す方々も増えてきています。

お召しになる機会が減ったシャツなどをクッションカバーやティッシュカバーのような日用品にリメイクすることも可能です。最近では、オリジナルマスクにリメイクするご要望も多くなってきました。お洋服にこだわらず、様々な日用品に生まれ変わらせることで、モノに込められた思い出を身近に感じ続けることができるのではないでしょうか。

PROFILE

西野公大、吉田宣子

Nishino Kimihiro,Yoshida Nobuko

西野さんと吉田さんはそごう千葉店でお客さまの思い出を修復するレザーとファッションの専門家。二人が手に持っているのは実際に修復やリメイクをした見本です。西野さんは長く仕事やお出かけの相棒だったのに、壊れてしまったり、すっかりくたびれてしまった、思い出のバッグやシューズを程よく使い込んだ感覚に修復します。引退したビジネスマンのお客さまが出張で世界を駆け回った思い出のバッグをご返却した時は、単なるモノへの感情を超えたバッグへの深い愛情を感じたそうです。一方の吉田さんはもう使わなくなったけど、どうしても捨てられない思い出のドレスやシャツやネクタイなどを思わぬ形で再生し、思い出をいつまでも残すために最適な方法を考え、お客さまとの対話を楽しみながら日々提案を行っています。

お手数ですが、お問い合わせ内容欄に必ずH12 そごう千葉店 ビスポークワークショップ supported by美靴工房と記入してください